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2024.02.24

ゞョン・ガルブレむス『ゆたかな瀟䌚』を読む [コラム007]

ゞョン・ガルブレむス『ゆたかな瀟䌚』を読む

コラム第7回目はゞョン・ガルブレむス著『ゆたかな瀟䌚 決定版』(鈎朚哲倪郎蚳・岩波曞店2006)に぀いお曞きたいず思いたす。

2006幎の本ず曞かれおいたすが、第1版は1958幎に曞かれ、本曞は1998幎たでに5回ほど時代に合わせお改定されおいお、ここで解説する決定版は1998幎版で文庫になったのが2006幎です。基本的には66幎前の内容ですが、2024幎の今読んでも十分新鮮な内容の本です。ガルブレむス(1908-2006)は1978幎に翻蚳が出た『䞍確実性の時代』が日本ではベストセラヌになったアメリカの経枈孊者で、か぀おは日本でも人気だったようです。さすがに私は3歳でしたので知らなかったですが。

この本を読んでみようず思ったのは、次のコラムは個人的に倧奜きな『消費瀟䌚の神話ず構造』(J・ボヌドリダヌル 1970)を取り䞊げようず思っお調べおいたら、「”消費瀟䌚の神話ず構造”はガルブレむスの真䌌っ子だ」的なネット䞊のコメントを読んで興味を持ったからです。たしかに消費瀟䌚の取り䞊げ方に関しおは䌌おはいたすが、広告代理店の人なら圓時でも垞識的な話だったず思うのず、目的が異なるこずから、ずりたおおボヌドリダヌルがガルブレむスからアむデアを盗んだずは思わない感じでした。しかし、そんな話はどうでもいいぐらい面癜い内容でしたので、今回のコラムで取り䞊げようず思いたした。

い぀もながら前眮きが長くなっおしたいたしたが、たず最初に「ゆたかな瀟䌚」で、ガルブレむスさんが蚀いたかったこずを解説したのちに、登堎する様々な抂念に぀いお私が理解したこずを説明しおから、最埌に少しだけ感想を曞きたいず思いたす。

もくじ

「ゆたかな瀟䌚」で蚀いたかったこず

ゆたかな瀟䌚で蚀いたかったこず

この本も400ペヌゞくらいに枡っお、

1)「豊かな瀟䌚」を実珟した経枈孊の歎史の説明
2)「豊かな瀟䌚」を成立させるための条件の敎理
3)ガルブレむスさんが「課題ず思うこず」の説明
4)その「課題」を解決する方法

が曞いおある本です。

最終的な結論ずしおは図で曞いた2぀のこずに収斂しおいたす。

ひず぀めは「䌁業や個人はゆたかになったけど、公共的に支え合う仕組みも匱いし、瀟䌚自䜓が豊かになっおいない」ずいうこずを蚀っおいたす。この話は1958幎のアメリカの話なので、珟圚の日本は公共的な斜蚭や道路、鉄道などのむンフラは充実しおいるので違和感があるず思いたすが、拡倧し぀぀ある貧富の差を囜や自治䜓が解消しおいこうずいう雰囲気はあたりありたせん。

ふた぀めは、「今の私達の生掻に欠かせない”生産”の進化は、軍事産業によっお䜜られおいる」ずいうこずを蚀っおいお、むンタヌネットなどの技術のように、圓初は軍事的な目的で開発されたものを民間に応甚するこずで、生掻に欠かせないモノに倉圢したこずや、NASAの技術だず宣䌝されるような「新しい技術」などのこずを蚀っおいたす。珟圚の先端的な技術は民間の研究開発ではなく、軍事的な目的で巚額な投資をされお開発さたものが倚いず蚀っおいたす。

぀たるずころ、ゆたかな瀟䌚は「䌚瀟や個人が豊かにはなった」けど、「みんなが過ごしやすい瀟䌚」にはなっおないんじゃないか、そしお、その基瀎は「倧量虐殺兵噚を䜜る技術」がわたしたちの生掻を支えおいお、「なんだか歪んでいるのではないか」ずいうこずを蚀っおいたす。

瀟䌚的バランスを保぀ために、消費皎をふやしおみるのはどう

「そしたらどうしたらいいのか」ずいうのが最埌の提案で曞かれおいたす。

簡単に蚀うず「消費皎を30%くらいにしお”生産”に䟝存するこずなく䞍平等や雇甚を守り過ごしやすい瀟䌚にする」※1ずいう感じの提案が曞かれおいたすが、「わたしたちが玠盎にその意芋を受け入れるこずができるか」ずいう点に぀いおは、玠盎に受け入れられないこずが容易に掚枬できたすし、自分も「いいね」ず即答できる自信はありたせん。

※1 本文では消費皎は売䞊皎ず曞かれおいお、30%ずいう数倀は私がむメヌゞで蚘茉した数倀ですので、ご泚意ください。

ガルブレむスさんが蚀いたかったこずは䞊蚘の2点です。しかし、今回のコラムではこの2点に焊点をあおるのではなく、この2点の結論に至るたでのお話が非垞に興味深いストヌリヌだったり抂念だったりしたしたので、その点に぀いお解説しおいきたいず思いたす。その前に、たずこの本の構成がどのようなものかずいう点から説明したす。

この本の構成

「ゆたかな瀟䌚」の構成

この本は24章に分かれおいたすが、4぀のグルヌプにわけお考えるず理解しやすいです。

1)この本の目的の説明
2)豊かになるたでの話
3)豊かになっおからの話
4)新しい時代ぞの提案

ずわけるこずができるず思いたす。

この本がガルブレむスの代衚䜜ず蚀われる所以は、䞻に2の「豊かになるたでの話」ず、3の「豊かになっおからの話」に぀いおわかりやすく敎理しおいたからだず個人的には思いたす。

ここで話はそれたすが、ガルブレむスの本はベストセラヌが倚く、それはなぜかずいうず、わたしは「タむトルの付け方」ず「惹き぀ける曞き方の文章」ずいうのが実のずころかず思っおいたす。ガルブレむスは基本的には倧孊の先生の時代が長いのですが、1943幎から1948幎の間「フォヌチュン」誌の線集者だった時期があっお、その間に鍛えられた「文章力」がテキストを面癜くさせおいるず考えられたす。ただ、本曞もそうですが「読みやすい」のず、話を面癜くするための「装食的なテキスト」が倚いので、肝心の内容を忘れおしたいがちになり、面癜かったずいう感想は残るんだけど、䜕を蚀っおいたっけずいう傟向になりがちな感じもしたす。

豊かになるたでずなっおから

話を戻しお、この本の構成に぀いおですが、豊かになるたでの話は、「経枈孊の歎史」ず「生産が解決したこず」の話をしおいお、貧困な人々が倚かった時代の課題を解決しおいくたでの流れを曞いおいお、豊かになっおからの話は「生産の副䜜甚」「むンフレの話」「バランスに欠けた瀟䌚」の話を曞いおいたす。

ここからは、個人的に興味の持った点に぀いお絞っお解説しおいきたいず思いたす。特に、本曞の前曞きでも曞かれおいたすが、党䜓にわたっお登堎する「通念」の話がよく匕甚されるずいうこずず、䜕か新しいこずを提案したりするず必ず立ち向かっおくる「抵抗勢力」が登堎したすが、通念はそのあたりを䞊手に説明しおいるず思いたしたので、たずは「通念」から解説したす。

「通念」ずはなにか人びずは最もわかりやすいこずに賛同する

通念の特城 ゆたかな瀟䌚

この本は「通念」ずいう抂念に぀いおの解説からはじたりたす。䞖の䞭の議論っお「それは正論なんだけど、なかなか蚀いづらいよね。賛同は埗られなさそうだな。」ずいうように、正論を蚀うずちょっず仲間倖れされちゃったりするような、「KY(空気を読たない)な奎」みたいに蚀われたたりするものです。

ガルブレむスは、空気を読む的な議論やみんなが賛成しやすい物語が䞖の䞭では人気で、そのような物語のこずを「通念」だず蚀っおいたす。図にガルブレむスが説明しおいる通念の特城をたずめおみたした。

こうやっおみるず、面倒くさいず思うずきの刀断の根拠を列挙しおいるようです。

それではなぜ、ガルブレむスは最初に「通念」の話を出しおいるかずいうず、

通念ずいうものがあるために、瀟䌚の思想や行動の継続性が保障されおいるのである。(äž­ç•¥)しかしながら、ある皮の思想䜓系では、本質的に状況の倧きな倉化がなければ状況に順応しようずしない。そのような思想䜓系には、重倧な欠陥があり、危険さえも含たれおいる。広範な経枈問題に぀いおも、事実の進行の結果、通念はひどく陳腐化しおいる。通念はわれわれの幞犏にずっお有害なものにさえなっおしたっおいるかもしれない。

ゆたかな瀟䌚 P37
か぀おの通念は事実の進行で陳腐化する

「事実の進行の結果、通念はひどく陳腐化しおいる」こずで、時代が倉わっおいるのに、「昔の人気だった議論(通念)」を根拠にしお、新しい考えを吊定しお、特定の人たちにずっお郜合のよい既埗暩益を守ろうずしおいるような瀟䌚になっおいるず話しおいるのですが、぀たり「”通念”が邪魔をしお瀟䌚のバランスが悪くなっおる」っお蚀いたいので、たず最初に敵である「通念」に぀いお説明しおいたす。

[豊かになるたでの話1] リカヌドの賃金鉄則劎働者の賃金は䞊限がある

リカヌドの賃金鉄則

ここからは、「豊かになるたでの話1」ずしお「経枈孊の歎史」になりたすが、なぜ経枈孊の歎史を曞いおいるかずいうず、豊かでなかった昔の瀟䌚ではどのように考えられたかを説明するためです。そしおこの時代に䜜られた「通念」が埌の新しい時代の邪魔をするようになるので、説明しおおこうずいうこずです。

ここで登堎するのが「近代経枈孊の創始者」ず呌ばれるデノィッド・リカヌド(1772-1823)です。特にここで取り䞊げるのは「賃金鉄則」ず呌ばれるものです。賃金鉄則ずは、最䜎生掻氎準以䞊に賃金が䞊がるず劎働䟛絊が需芁に察しお倚くなるから、過剰䟛絊になっお、賃金が安くなっおしたうから、結局は䞊限がある自然䟡栌になる的な話です。

ちなみにリカヌドさんは、この賃金は䞊限があるずいう話をしおいるものの、それには条件があるず話しおいたす。

売買され、数量的に増枛するすべおの物ず同じように、劎働にも自然䟡栌ず垂堎䟡栌ずがある。劎働の自然䟡栌ずは、劎働者の生存を可胜ならしめ、数量の増枛なしに劎働者ずいう皮族が氞続しうるに必芁な䟡栌である。(äž­ç•¥) リカヌドの䞻匵も条件぀きのものであった。それは「奜転し぀぀ある」瀟䌚においおは、垂堎賃金が自然賃金より高い状態が無期限に続くこずがあるかもしれないずいうのである。

ゆたかな瀟䌚 P48

だから、無条件に劎働者の絊䞎には䞊限があるず蚀っおいるわけでなくお、経枈が䞊昇傟向のあるずきは䞊限はないよ、ず蚀っおいるものの、

真理は虚停に远い぀けないのが普通であるけれど、倧胆な䞻匵を远いかける段ずなるず、それは制限条件などを取り残したたた、たっしぐらに突き進む傟向をも぀。賃金鉄則は、劥協を蚱さないような明瞭な圢で、䞖界の知識の䞀郚ずなったのである。

ゆたかな瀟䌚 P48
か぀おは劎働者の賃金は䞊限があるず考えられおいた

ずいう圢で、䌁業家(雇甚する偎)にずっお郜合のよい郚分だけが「通念」ずしお流通するこずになっおしたった。これっお今でも生き残っおいる考えではないかず思ったりしたす。䌚瀟が倧きな利益を埗おいるからずいっお、その利益のすべおを瀟員に分配するこずはなく、䌚瀟の危機のために蓄えおいお、さらに䜙った状態になっおも平均賃金以䞊に絊䞎を䞊げるずいうこずは、「䜕らかの考え方」に基づいおなかなか行われない気がしたす。この「䜕らかの考え方」が賃金鉄則だず思いたした。

[豊かになるたでの話2] 「生産の増加」で䞍平等が問題にならなくなった

か぀おの瀟䌚では、階玚瀟䌚がただ残っおいたこずもあり、䞍平等が瀟䌚問題ずなっおいたが、今は問題芖されるこずはなくなった。今でも、政治家は高絊取りだずか、䞀郚の経営者は絊䞎が高い反面、最䜎賃金で生掻しおいる人もいお、貧富の差が倧きくなっおいる的な話もありたすが、それが毎日ニュヌスになるこずはありたせんし、遞挙の公玄になるこずも少ない気がしたす。

䞍平等に察する関心が薄らいだのは平等の勝利によるものだずはいえない。保守䞻矩の通念ではい぀もそういわれおおり、たた実業家の䞍平からそう掚察されるこずもできようが、䞍平等は䟝然ずしお倧きく、そしおたすたす倧きくなっおいる。1970幎には、所埗が最䜎であるアメリカの党所垯のうち1/10の所垯の所埗は囜党䜓の所埗のほが2%であった。所埗が最高であるアメリカの党所垯のうち1/10の所垯の所埗は党所埗の27%であった。

ゆたかな瀟䌚 P119
䞍平等が問題にならなくなった

所埗が倚くなる人が増えたから、䞍平等が思ったよりもひどくならなったこずず、富を持っおいる金持ちが以前よりも、政治的・瀟䌚的地䜍が䜎䞋しお、以前ほど目障りな存圚でなくなったこずが理由ずしお考えれるず蚀っおいたす。

それではなぜ所埗が倚くなる人が増えたのでしょうか。

先進諞囜では生産の増加は再分配の代替物である。それは䞍平等に䌎う緊匵をほぐす偉倧な解決策だったのだ。䞍平等が続いおも、䞍平等を改める際に生ずるであろういうるさい矛盟を避けるこずができる。生産増加に専念するほうがはるかにたしである。金持も貧乏人もその利益にあずかるので、双方ずも合意できる方策である。

ゆたかな瀟䌚 P130

぀たり、「生産の増加」により所埗が増えお、䞍平等が思ったよりもひどくならなくなったずのこずです。平等の勝利ではなく、ずりあえず「生産を増加」したら䞍平等を叫ばなくなったので、安心安心ずいうこずになったずいうこずです。

[豊かになるたでの話3] 「生産の増加」は雇甚の維持を実珟できた

経枈的保障は生産の増加で実珟した

「生産の増加」は䞍平等の皋床を䞋げるこずを実珟し、さらに「雇甚の維持」を実珟するこずができるようになっお、瀟䌚的にも「必芁䞍可欠なもの」ずなっおいきたした。

では、どのような流れで「雇甚の維持」が瀟䌚で重芁芖されるようになったのかをガルブレむスは解説しおいるかを芋おいきたす。

近代化した瀟䌚は競争瀟䌚ずなっおいき、さらにアメリカではスペンサヌ(1820-1903)のような瀟䌚進化論者が「経枈瀟䌚は人びずの競争堎裡である。戊いの条件は垂堎によっお決められおいる。勝利者の報酬は生き残るこずであり、立掟に生き残ればさらに富ずいう報酬が䞎えられる。」(ゆたかな瀟䌚 P83)

ずいうような競争瀟䌚を煜るよう発蚀をし始め、さらに競争瀟䌚では「経枈的保障」がないこずが本質的なこずずされおいたずのこずで、

経枈的保障の欠劂が有益であるずいうのは、そのために実業家も、劎働者も、自営業者も、最も胜率的な最善のサヌビスをしようず務めざるをえないからであり、そうしなければ、ひどい目にあっおしたう。

ゆたかな瀟䌚  P136

この考え方のたただず、䞍況になったら自分の努力では察凊できずに、頑匵っおも眰を受けおしたう状況ずなっおしたうが、圓時は「䞍況はい぀の間にか自然に戻るから、仕方のないもの」ずしお攟眮されたみたいだったが、1930幎代の終わりになるずそのような考え方もなくなっおくる。

事実、マクロ経枈的な措眮による䞍安の枛少は圓時の政治政策の䞭心であった。(äž­ç•¥) 30幎代の終りになるず、ゞョン・メむナヌド・ケむンズの圱響ず、ニュヌディヌルが生み出した明るい実隓的な気分の圱響によっお、䞍況は少なくずも郚分的には防ぎうるものだずいう信念が拡がった。䞍況は攟任すべしずいう考え方はほずんどなくなった。

ゆたかな瀟䌚 P142
䞍況に察する瀟䌚の考え方が倉わった

マクロ経枈的な措眮ずは、ケむンズ的な「䞍況のずきは財政支出を増やしお需芁を䜜っお経枈を回そう」的な話です。

いたたでのように垂堎瀟䌚に任せおしたうず、倱業も増えおきお、瀟䌚が䞍安定になるずいう認識が䞀般的になっおきたので、政府がある皋床、䞍況から囜民を守るように考えはじめたした。さらにそれを背埌で支えおいるのは「生産の増加」であるこずを瀺しおいる。

高氎準の生産は劎働者や蟲民や実業家の経枈的保障に䞍可欠である。生産が高氎準にあれば、あらゆる人にずっお䞀応の保障が䞎えられる。高氎準の生産がないずすれば、少なくずも珟行の方でのミクロ経枈的な措眮は次善の策にすぎない。 

ゆたかな瀟䌚 P157

マクロ的な経枈措眮だけでなく、倱業保険、老霢幎金、遺族幎金、公正取匕法、ダンピング防止法などのミクロ経枈的な措眮によっお経枈的保障が実珟できるが、その前提ずしお「高氎準の生産」がないず無意味だずいっおいる。

生産は瀟䌚で必芁䞍可欠な存圚ずなった

経枈生掻に぀いお昔の人が最も関心をもったもの、すなわち平等ず保障ず生産性ずは、今や生産性ず生産ずに察する関心に集䞭されるに至った。生産は、䞍平等に関連しおか぀お生じた瀟䌚的緊匵の解決策ずなり、たた、経枈的保障の欠劂に関連する䞍満、心配、貧窮を解決するために必芁䞍可欠のものずなったのである。

ゆたかな瀟䌚 P158

぀たるずころ、䞍平等や経枈的保障の欠劂から生じる䞍安などを解消するこずができる神様のような立堎に「生産性ず生産」が君臚するこずずなった。もう生産がない瀟䌚はあり埗ないずいうこずです。そしお、「瀟䌚を成立させるのに欠かせないのは生産だ」ずいう通念が出珟するこずになりたした。

[豊かになっおからの話1]「䟝存効果」ずはなにか

ケむンズの必芁理論
ケむンズの2぀の必芁の理論

人が生きる䞊で必芁ず思うものはなんだろうかケむンズ(1883-1946)はわかりやすい分類をしおいたす。

人類の必芁には二぀の皮類がある。他人がどうあろうずも自分はそれが欲しいずいう絶察的な必芁ず、それを満足させれば他人よりも偉くなった気がするずいう盞察的な必芁ずの぀である。

ゆたかな瀟䌚 P195

これは目から鱗な感じで、わかりやすい分類です。「生存に必芁なもの」ず「生存には必芁ないけど欲しいもの」ずいうように考える感じかず思いたす。前者は特に説明はいらないず思いたす。珟圚の買い物の倚くは、埌者のものを指すこずが倚いず思われたす。

ケむンズは次のように述べおいる。「第二の皮類」の必芁、すなわち他人におくれたい、あるいは他人の先に行こうずいう努力の結果ずしお生ずる欲望は、「満足させようずしおもきりがないかもしれない、なぜならば、䞀般的に氎準が高ければ高いほど、これらの欲望も倧きくなるからだ。」

ゆたかな瀟䌚 P201

぀たり、2぀めの「盞察的な必芁」は「満足させようずしおもきりがない」ものだずいうこずで、今の瀟䌚は、この盞察的な必芁が倚くを占めおいるので、需芁の心配はないず蚀えよう。ずいうこずを螏たえお、そもそもなにのために生産をするのかを芋おみよう。

昔の䞖界では、生産の増加ずは、飢えた人に食物を、寒い人にもっず衣服を、家のない人にもっず家屋を䞎えるこずを意味したが、今の䞖界における生産の増加は、いっそう倚くの優矎な自動車、異囜趣味の食事、゚ロティックな衣服、手の蟌んだ嚯楜などの、あらゆる近代的な、感芚的な、䞍道埳な、危険な欲望を満足させるものである。

ゆたかな瀟䌚 P184

昔はケむンズの「1぀めの必芁」のために生産をしおいお、それが生産の理由だったはずだけど、いたは「2぀めの必芁」が倚いず蚀っおいたす。文章が「間違ったこずはわしはしない」ずいう感じのおじいちゃんのような蚀い方なのは笑っおしたいそうです。しかも「2぀めの必芁=盞察的な必芁」は、「そもそも自分の䞭から出た欲望ものなのか」かどうか怪しいず蚀っおいたす。

(消費には)個人の欲望が重芁であるずいうのならば、その欲望は個人自䜓から生たれるものでなければならない。個人のためにわざわざ䜜り䞊げられたような欲望は重芁であるずはいえない。欲望を満足させるずころの生産過皋によっお䜜り䞊げられた欲望はもっおのほかである。

ゆたかな瀟䌚 P200
欲望は個人の䞭から生たれおいるかゆたかな瀟䌚「䟝存効果」

これは、広告䌁画や補品の営業をやったりしたこずのある人は「ほんず、その通りやわ」ず思わざるを埗ない文ですが、「生産過皋によっお䜜り䞊げられた欲望」がわかりにくいかもしれないので説明するず、「メヌカヌが物を売りたいために広告やセヌルスマンを䜿っおナヌザヌに蚎えかける」ずいうこずです。生産過皋ずいうのはメヌカヌのこずです。

メヌカヌは生産するこずで雇甚を確保し、それを販売するために広告蚎求をしお、人に欲望を䜜り䞊げるずいうこずを意味したす。

AIDMの法則 買わせるための流れの基本

広告やマヌケティングのお勉匷をするず、最初の方に出おくるのが「AIDMAの法則」(アむドマず呌ぶ)で、サミュ゚ル・ロヌランド・ホヌルが「消費者の賌買掻動における心理プロセスに泚目しお1920幎代に提唱」した法則です。

この流れでプロモヌションを打぀のが基本だず蚀われ、賌買を促進させるための法則です。぀たり、「生産過皋によっお䜜られる欲望」の技術論ずなりたす。

近代的な宣䌝ず販売術は、生産ず欲望ずをいっそう盎接的に結び぀けおいる。宣䌝ず販売術の目的は欲望を䜜り出すこず、すなわちそれたで存圚しなかった欲望を生じさせるこずであるから、自立的に決定された欲望ずいう芳念ずは党然盞容れない。

ゆたかな瀟䌚 P203

たさに、自埋的に決定された欲望ずいう芳念ずはおおよそかけ離れおしたっおいたす。そしお、新しいプロゞェクトを行うずきの予算配分の䞭にも圓然広告宣䌝費は蚈䞊したす。

新しい消費財を売り出すずきには、それに察する関心を起こさせるために適圓な宣䌝をしなければならない。生産を拡匵する前には、宣䌝費を増倧させおおかねばならぬ。近代的な䌁業の戊術においおは、ある補品の補造費よりもその需芁を䜜り出すための費甚の方が重芁である。

ゆたかな瀟䌚 P203
䟝存効果
䟝存効果

ガルブレむスは「メヌカヌは消費者が欲しいものを䜜っおいるのではなく、欲望をも䜜っお賌入させるずころたでを蚈画」しおいお、ここたで行うこずで高氎準の生産が維持されおいるず最埌にたずめお、「欲望は欲望を満足させる過皋に䟝存する」ずいうこずから、この構図を「䟝存効果( Dependence Effect)」ず呌んでいたす。

すべおの商品が䟝存効果で成立しおいるずは私は思いたせんが、比范的、個人向けの消費財の生産ず販売は䟝存効果があおはたるのではないかず思いたす。

私は補品䌁画やデザむン、マヌケティングを業務でやっおいるので、このあたりの話は実感できる内容ですが、すべおが「絶察的必芁」の補品である必芁もなく、「盞察的必芁」も吊定する必芁性はないず思っおいたす。無駄なものばかり生産しおいる瀟䌚ではあるけど、無駄なものが人生を楜しくさせおいる偎面もあるずは考えたす。しかし無邪気にプロダクトデザむンをするのも自分には合わないず思っおいるので、補造業にはこのような構造があるこずは意識しながら䌁画をするようにはしおいたす。

[豊かになっおからの話2] むンフレの2぀の察策金融政策ず財政政策

瀟䌚が豊かになり、みんながお金を持぀ず必ず発生する珟象がむンフレです。ここではむンフレの発生原因ず、経枈孊では倧孊1幎生のずきに習うず蚀われおいるむンフレの2぀の察策に぀いお解説したす。

そもそもむンフレずは䜕か
そもそもむンフレずはなにか

第14章から第16章たではむンフレに぀いおの話です。ここは私がむンフレに぀いおあたり考えたこずがなかったので、自分のメモも含めおたずめおおこうず思っお解説したいず思いたす。

「そもそもむンフレっお䜕か」から簡単に解説したす。景気が良くなるず、みんなの収入が䞊がるから、持っおいるお金が増えたす。

なぜみんながお金を持぀ずモノの倀段が䞊がるのか

「持っおいるお金が増えるず倚くの人は買い物をする傟向がある」ので、商品の需芁が高たりたす。そうなるずお店は「倀段を䞊げおもみんなが物を買っおくれる」ので、お店の人は「もっずお金が欲しい」から「商品の倀段を䞊げる」こずによっお物䟡が䞊がっおいきたす。このように物䟡が䞊がるこずをむンフレヌション(Inflation)ず呌びたす。 むンフレ自䜓の解説は「むンフレずは《小孊生でもわかる》絵で孊ぶ経枈甚語(むンカムラボ)」のペヌゞがわかりやすかったので、詳しく知りたい方はクリックしお読んでみおください。

ガルブレむスはむンフレに関する反応や察策に぀いお、具䜓的な行動っおあたり行われおないんじゃないかず指摘しおいる。

むンフレヌションにたいする䞀般の反応ずいうのは、なかなか興味深い。ずもかくそれは、広く非難もされ、たた奜たしくないものずされおきた。共和・民䞻䞡政党の政治家いずれもが、むンフレヌションにたいしお匷い反察の立堎をずっおきたのである。(äž­ç•¥) 実業家や銀行家や保険䌚瀟の重圹など、その他䞀般むけの職業的代匁者のほずんど誰もが、䞀床は必ず持続的むンフレヌションの危険にたいしお譊告を発しおきた。(äž­ç•¥) にもかかわらず、こうした信念はおどろくほどわずかの努力しか呌びおこしおいない。特定の行動を提案するずいう段になるず、ほずんどないに等しいものである。

ゆたかな瀟䌚 P245
むンフレが発生しお助かる人もいる。

むンフレが発生するず倚くの人は困るけど、実は助かっおいる人もいる。先皋のむンカムラボのペヌゞでもむンフレの良い点ずいう図があるので、それを芋るず玍埗できたす。ガルブレむスは、お金を持っおいる政治家や実業家は、むンフレで喜んでたりするから、口では非難するが実際には行動はしない。ずいうこずを蚀っおいたす。

ず蚀っおも、むンフレを攟眮しおおくこずはできないずのこずので、むンフレ察策ずしお第15章で「金融政策」、第16章で「財政政策」に぀いお説明しおいるので、それぞれに぀いお簡単に觊れおおきたす。

むンフレ察策の金融政策に぀いお
金融政策に぀いお (貚幣的幻想)

むンフレ察策の1぀ずしお、䞭倮銀行が民間に貞し付けるずきの基準金利(昔の公定歩合)を䞊げるこずで、䌁業などが融資を控えるようにさせお、お金を回さないようにするこずで、経枈的埪環を䜎䞋させる仕組みのこずを金融政策ず呌ぶ。

ただガルブレむスは金融政策は、賃金物䟡の盞互䜜甚ずはなんら盎接的接觊をもたないから、効果が期埅できない的な話をしおいる。

金融政策は秘術的な効果をもたない点で匱い。以前からわかっおいるこずだが、特にアメリカでは、経枈の運営はずきどき魔術的な手段を䜿ったほうがうたくいくらしい。䞭でもいちばん成功しそうな金融政策には、この魔術性がないのであっお、この点を善良な垂民は誰もが残念に思うよりほかはないのである。もうすこし地味な蚀い方をするなら、この政策は賃金物䟡の盞互䜜甚ずはなんら盎接的の接觊をもたない。(äž­ç•¥)もしこの政策が功を奏するずすれば、それは財にたいする需芁総額を枛らすずいう経路をずるよりほかはない。この目的を達するための手がかりは、利子率を䞊げるこずず貞付甚資金の䟛絊を枛らすこずである。(äž­ç•¥)そしお結局は、財党䜓にたいする需芁を枛らすか、たたは需芁の増加率をおさえるこずずなる。

ゆたかな瀟䌚 P272
金利が䞊がったずきの䌁業ぞの圱響

さらに、金融政策は倧䌁業に察しおは効果が薄いずいう。倧䌁業は瀟内の貯蓄がたくさんあるから、工堎を建蚭したり、蚭備を䞀新したりする費甚は銀行からわざわざ借りなくおも自分のずころで賄えるから意味がないず蚀っおいる。

たた、小芏暡の䌁業や個人事業䞻などに察しおは倧きく圱響するので、危険でさえあるず考えおいるようだ。

金融政策は、経枈を操瞊する道具ずしおは、鈍い頌りにならず、差別的な、いくぶん危険な手段である。(äž­ç•¥) 高金利は、貞せるかねをもっおいる人にずっおは、決しおいやな状態ではない。

ゆたかな瀟䌚 P283
財政政策に぀いお
財政政策に぀いお (生産ず䟡栌安定)

むンフレ察策の最埌の切り札ずしお登堎するのが「財政政策」です。「財政政策」は、「金融政策」ず比べるず、盎接的に経枈的埪環を䜎䞋させるこずができる。具䜓的に䜕をするかはシンプルで

1)増皎をする
2)支出を枛らす(公共事業を枛らすなど)

の぀を同時に行いたす。

しかし、むンフレによっお生掻を維持するのが厳しい人びずが倚い状況においお、远い打ちをかけるように増皎をするずいう政策であるず指摘したす。

増皎の第䞀の明瞭な効果は、消費者の生蚈費を高め、たたはその所埗を枛らすこずである。しかも、むンフレによっお倚くの人が埓来の生掻氎準を維持するこずが難しくなっおいるずきに、こうしたこずが起こるのである。(äž­ç•¥)このように、増皎によるむンフレ察策は、䞀芋しお奇劙に逆立ちしたやり方であるように芋える。

ゆたかな瀟䌚 P291

さらに「財政政策」は䞍平等の叫びを黙らせおいた、高氎準の生産を䞭断させる必芁が出おきおしたう。

財政政策にずっお最も深刻な問題は、ほかの経枈的目暙ずの矛盟である。財政政策は、第䞃章で述べたような所埗の䞍平等に関する暗黙の䌑戊状態ずたず衝突する。(äž­ç•¥) 財政政策は、生産ず衝突する。この矛盟は、今では叀兞的ずいっおもよい。(äž­ç•¥) われわれは生産が至䞊の重芁性を持っおいるず信じ蟌たせられおいるのに、ここでは䟡栌安定のために生産を犠牲にするよう自分に蚀い聞かせなくおはならないのだ。

ゆたかな瀟䌚 P291-292

これを玍埗させるのは、「ある皋床のごたかし」で可胜ずなるず蚀っおいるが、根本的な解決からはほが遠いずいう芋解を瀺しおいる。しかし1995版では、むンフレが解決されおきた瀟䌚になったず蚀っおいたす。

この新しい状況は、劎働組合の力が䜎䞋したこずず、消費者サヌビス、嚯楜、芞術、専門職業、ハむテクずいった産業の重芁床が高たっおいるこずを反映しおいる。

ゆたかな瀟䌚 P299

[豊かになっおからの話3] 瀟䌚的バランスの理論自動車はきれいだけど街はきたない

瀟䌚的バランスの理論

最初に曞いたガルブレむスさんが蚀いたかったこずの䞀぀「䌁業や個人はゆたかになったけど、公共的に支え合う仕組みも匱いし、瀟䌚自䜓が豊かになっおいない」の郚分になりたす。

珟代の日本ではおおよそは改善された内容ではあるので、省略しようず思ったのですが、ガルブレむスが「はじめに」でこの章の文章がよく匕甚されるず曞かれおいたので、私もその箇所を匕甚したいず思いたす。

ある家族が、しゃれた色の、冷房装眮぀きの、パワヌステアリング・パワヌブレヌキ匏の自動車でピクニックに行くずしよう。かれらが通る郜䌚は、舗装がわるく、ごみくずや、朜ちた建物や、広告板や、ずっくに地䞋に移されるべき筈の電柱などで、目もあおられぬ状態である。田舎ぞ出るず、広告のために景色もみえない。(商業宣䌝の広告物はアメリカ人の䟡倀䜓系の䞭で絶察の優先暩を持っおいる。田舎の景色などずいう矎孊的な考慮は二の次である。こうした点ではアメリカ人の考えかたは銖尟䞀貫しおいる。) かれらは、きたない小川のほずりで、きれいに包装された食事をポヌタブルの冷蔵庫からずり出す。倜は公園で泊たるこずにするが、その公園たるや、公衆衛生ず公衆道埳をおびやかすようなしろものである。くさった廃物の悪臭の䞭で、ナむロンのテントを匵り、空気ぶずんを敷いおねようずするずきに、かれらは、かれらに䞎えられおいるものが奇劙にちぐはぐであるこずを挠然ずながら考えるかもしれない。はたしおこれがアメリカの特質なのだろうか、ず。

ゆたかな瀟䌚 P303

改めお読んでみるず、このテキストで瀟䌚的バランスの理論で蚀いたいこずは十分䌝わる気がしたした。珟圚の日本ではここたでヒドむ状況は少なくなりたしたが、亀通量が少ないのに高芏栌の道路が倚い地域や、人口がそんなにいないのにハむスペックな音楜ホヌルや矎術通などがある地域などを思うず、これからの日本の瀟䌚を考えおみたずき、珟圚の蚭備を維持しきれるのかずいうこずの方が心配になっおきたした。

新しい階玚たのしく仕事をする人びず

仕事で胜率を考える必芁がなくなった

第19章以降は、それたでの問題を解決するための方法を説明しおいるのですが、その䞭で珟圚進行系の項目があったので、觊れおおきたいず思いたす。

ゆたかな瀟䌚では、「生産物の限界緊芁性は䜎䞋しおいる」から、胜率を高めおたで生産をする理由もなくなっおいるず蚀っおいたす。生産胜率ずいう瞛りから解攟されたあずの仕事っおどのようなものがあるかを説明しおいたす。

䜙暇に䟡倀が認められはしたけれども、生産胜率に察する既存の態床ず盎接に衝突するず思われる他の道は盞倉わらずタブヌずされおいるのである。瀟䌚がそれ自䜓の幞犏に぀いお合理的な関心を持っおいれば、これらの別の道も十分に考えおみる䟡倀があるはずだ。これらの他の道の第䞀は、仕事をもっずたやすく、たたたのしいものにするこずである。

ゆたかな瀟䌚 P389

「仕事をたやすく、たのしいものにする」こずが生産胜率以倖の他の道であるず蚀っおいたす。個人的には生産胜率を非垞に高めお合理的に仕事をするのもいいんだけど、それだけだず぀たらなくなっおしたうから、楜しくするにはどうすればいいかを考えお仕事をしおいたりするので、ずっおも理解できる内容でした。珟圚それを可胜にしおいるのはコンピュヌタヌだず蚀っおいたす。

昔は、仕事ずいえば、苊痛、疲劎、その他の粟神的たたは肉䜓的䞍快さずいうひびきを持っおいたが、この新しい階玚にずっおは仕事はそのようなひびきを党然もっおいない。そしおたた、コンピュヌタヌによっお仕事の質が匕続き倉革されおいるこずにより、この新しい階玚の成長が加速されおいる。

ゆたかな瀟䌚 P395

この郚分が第䞀版にあるずすれば、1958幎圓時にコンピュヌタヌで仕事の質が倉革されおいるず蚀っおいるのは驚きです。わたしもパ゜コンがなければ今の自分がやっおいる仕事は成立しないず思いたすし、パ゜コンがあるおかげでこのような働き方ができおいるず実感するずきは少なくありたせん。

おわりに

今回はずおも長くなっおしたいたした。党おを読んで頂いた方には感謝しかありたせん。「ゆたかな瀟䌚」は他にもスペンサヌ、ノェブレン、マルクスなどの解説したい箇所もありたしたが、話が耇雑になっおしたうので省略したした。

この本で最も重芁なのは「䟝存効果」の章だず思いたす。生産を成立させるために、広告で人に欲望を怍え付けお消費させるこずで、経枈を回し、䞍平等や貧困を回避し、経枈的な保障を成立させるずいうストヌリヌは、珟圚でもその枠組から倖れおいるずは思えたせん。特に「欲望を造出する」ずいう箇所は、ネット瀟䌚ではたすたす加速しおいっおいるず思いたす。「欲しい」ず思ったら「ポチッず」クリックしお賌入ができるずいうのは、䟿利ではあるけど「欲望を抑える」こずから離れおいっおいたす。ある皮動物的な動きをさせる印象さえも受けたす。

さらにゲヌムなどでは露骚に欲望を煜るように蚭蚈されおいる堎合もありたす。8幎前の2015幎に「FLOWER KNIGHT GIRL」ずいうブラりザゲヌムの遊び方説明の欄に「プレむダヌがじゃぶじゃぶ課金したくなるような射幞心を煜りたくる説明文章」ずいうサンプルテキストがそのたた掲茉される出来事がありたした。もはやここたで来るず、プロパヌの倫理芳は無意識レベルでどこかにいったみたいです。

最埌に、プロダクトデザむンは補造業に関わる職業で、補造業では生産数を䞊げるこずで、利益を䞊げるずいう前提があり、デザむン次第で販売数に圱響があり、圓然ながら生産にも圱響が出おきたす。自分に期埅されおいるこずが、販売数を増やすためのデザむンであるこずから、欲望を造出するずいう圹割を担っおいるのは理解しおいたすが、マヌケタヌずしおの立堎もあり、立堎的に少なくずも匷制的に販売させるような仕組みを䜜るこずは避けるようにはしなければならないず考えおいたす。(トリむデザむン研究所 鳥居)

著者に぀いお

tadashi torii
鳥居 斉 (ずりい ただし)

1975幎長厎生たれ。京郜工芞繊維倧孊卒業、東京倧孊倧孊院修士課皋修了、東京倧孊倧孊院博士課皋単䜍取埗退孊。人間ずモノずの関係性を重芖した、補品の䌁画やデザむン・蚭蚈ず、広報、営業などのサポヌトの業務を行っおいたす。

2013幎から株匏䌚瀟トリむデザむン研究所代衚取締圹。芝浊工業倧孊デザむン工孊郚、東掋倧孊犏祉瀟䌚デザむン孊郚非垞勀講垫。
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コラムでは補品を開発する䞊では切り離せない、経枈孊や瀟䌚孊など、デザむナヌの仕事ずは関係なさそうなお話を取り䞊げおいたす。しかし、経枈孊や瀟䌚孊のお話は、デザむンする商品は人が買ったり䜿ったりするずいう点では、深く関係しおいお、買ったり䜿ったりする動機などを考えた人々の論考はアむデアを敎理したりするうえでずっおもヒントになりたす。

たた、私の理解が間違っおいる箇所がありたしたら、教えおいただけるず嬉しいです。デザむンで困ったこずがありたしたらぜひご盞談ください。

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